宇宙船と砂漠で足跡

こんにちは。 こんばんは。 おはようございます。 flyingsapceshipと申します。 こちらのはてなブログでは好きなもの、きらいなもの、気になるもの、考えたことがあれば、私ならではの少ない語彙と拙い文章による書置きスタイルでお送りしようと考えています。

愛してると同級生は言った

こんにちは。

こんばんは。

おはようございます。

flyingsapceshipと申します。

こちらでは好きなもの、きらいなもの、気になるもの、考えたことがあれば、私ならではの少ない語彙と拙い文章で書き殴っていくスタイルでお送りしています。

 

高校の卒業式は、とても良かった。

それが母校の伝統なのかどうかはわからない。

 

私の高校は、卒業式に部活に所属していない後輩生徒は参加していなかった。と思う。だから、毎年どのような形なのか私自身はさっぱり知らずに、自分の卒業式当日を迎えた。

 

おそらく、部活に入っている人は多かったので、先輩の卒業式を見ているため、「アレいいな!」と思って同じ形式をとっていたのかもしれない。

 

母校の卒業式はとてもシンプルで、校長の話、卒業証書をクラスで選ばれた代表者が校長から受け取り、全員で卒業の歌を歌う、くらいだった。

クラスの代表者は、クラスで人望があって明るく、ユニークな人物が選ばれる。偏差値やスポーツの成績がヒエラルキーになる学校では無いので、いかに平和に人の笑顔を作れるかが人望に繋がった。

 

要するに、全部で6クラス、6人のお調子者が舞台に立つのだ。

ひとりめは、校長の腕を取り、舞台下の生徒をバックにしてインスタントカメラで校長と自分のツーショットを撮ってから証書を受け取った。

なにも知らなかった私は、『えっ?』と最初は引いたが、クラスの代表者自身が学年でも目立つ愉快な子という前提があるので、まぁそういうものか、と思った。

 

それぞれ思い思いに、そこそこの『一発ギャグ』を披露して去る。それを、校長が渋い顔をしながら付き合い、見守る、という状況は確かに面白かった。

 

今、部外者としてそんな卒業式を見たら『調子に乗ったガキがサムいことしてる』と思うかもしれない。

実際、当時後ろの保護者席にいた母は「なんなの、あんなふざけた卒業式は」と言っていた。

 

でも、その空気は、我々の普段の学校生活の雰囲気と変わりなく、愉快で楽しかった。

泣きながら、別れを惜しみながらする卒業式は確かにスタンダードなのかもしれない。

 

しかし、私の高校は、昼休みにアコースティックギターを弾き歌いながら歩き回る生徒がいたり(ギターにギャルが大量にプリクラを貼っていた)、校内で鳥が死んでいるのを見つけたら先生と墓を作ったり、と、ルールやスタンダードを作るより、やりたいことをやっていいときにやる、くらいの緩さがあった。

 

それなりに高校生らしい陰湿さもあったかもしれないが、私の周りでは、それが嫌なら嫌と言えたし、笑いごとにしてやることで解決できた。

人間なので合う合わないもあったが、ギャルが多かったので、それなりにドライに、社会性を駆使してやりすごす術もあった。

 

そんな日々が当たり前だったので、卒業式だからと言って、今更しんみりした空気をわざわざ作る方がサムかったんだと思う。

 

それに、進学校では無いが、ほとんどの生徒の進路は明るいもので、卒業できるのに、なぜ卒業に涙しないといけないのか。

大人はそれで満足するかもしれないが、あくまで卒業する自分たちのイベントだ。

だから、校長も黙って付き合っている。

 

さて、最後となる6人目は野球部に所属するMくんだった。

彼はどのイベントでも先陣を切って、笑いを取りに行き、よくわからないけどなんか有名、という立場を勝ち取った。

アニメのルパン三世に似ていた。

 

卒業式で見せるだろう、彼の最後のチカラ。

学年全員の、彼に向けられた期待値は最高潮に達していただろう。

 

Mくんは証書を受け取って、舞台の真ん中に、舞台下に向かって仁王立ちした。

 

 

『みんな!!

あいしてるぅ!!!!』

 

 

彼は顔をくしゃくしゃにして、叫んだ。

そして、舞台を飛び降りた。

 

その瞬間、学年全員が無言になった。

 

私はその瞬間、『愛されていた!』と喜んでいた。みんながそうだったかはわからない。

ただ、高校3年間、愛に関して特筆すべき事項が無い私にとって、同級生としてよく知らずともMくんが投げかけた『みんなへの愛』は、とても嬉しかったのだ。

Mくんが自分の列に戻ったくらいに、笑いと拍手が湧き上がった。

 

良い卒業の挨拶だった。

完全にアイドルだ。

 

式後、友人たちも「Mくんのさ、なんかよくわからないけど、ジンとした」と評していた。

 

そして、高校の卒業アルバムが届いた。

名簿的に並ぶページとは別に、各クラスのアルバム委員が製作した、クラスの個人ごとの写真が並ぶページがある。

 

Mくんのクラスは、ひとりひとり、黒板に名前と趣味や好きなものなどを書いて、それをバックに撮っていた。

 

Mくんは両手の親指をあげ、小首をかしげ、笑顔でこちらにウィンクを投げている。

 

黒板には名前の下に力強い字。

『3年連続好感度NO.1‼︎』

 

 

彼はやはり、アイドルだった。

 

私がブログの最後に『愛しています』と書いているのも、もしかしたら、彼の影響なのかもしれない。

 

本日も読んでいただき、ありがとうございます。

愛しています。