妖怪
こんにちは。
こんばんは。
おはようございます。
flyingsapceshipと申します。
こちらでは好きなもの、きらいなもの、気になるもの、考えたことがあれば、私ならではの少ない語彙と拙い文章で書き殴っていくスタイルでお送りしています。
某新古書店で、見た。
6〜7年くらい前だ。
当時の私は、ギャルを目指していたので10cmヒールのサンダルを履いていた。それでやっと人並みの身長くらいになる。
隣街の某新古書店は、当時改装前で、やや薄汚い印象だった。
なにかの時間つぶしか、ただの散策ついでだったか忘れたが、私は無目的の客として入店したため、店内を適当にだらだらと一周していた。
店に入ると全体像を把握したがる性癖を満足させたら、やっと本を触る。
急激に『スラムダンク読みたい欲』が湧き、コミックコーナーに向かった。
当時のレイアウトでは、コミックコーナーは少年漫画系と少女漫画系が向かい合う形になっていた。
そのため、客の並びを見ると、左に男性が多く、右には女性ばかり、となった。
ただ、ぱっと見て、違和感を感じた。
足元の高さくらいにうずくまる、大きな影があった。
私の血が一気に沸騰したのがわかったので、10cmヒールをガツガツと大きな音を立ててそこに向かった。
男が、少女漫画を夢中で立ち読みしている女性の、デニムの後ろポケットのあたりを舌で触れていた。
私は血が煮え繰り返るのと、血の気が引くのが同時に起こり、やや貧血のような気持ちになったが、私がものすごい靴音を鳴らして近付くと、男はサッと立ち上がり、なにもなかったかのように店内に向かって歩き出した。
女性はイヤホンをして漫画を読んでいたためか、なにも気付いていないようだった。振り向くこともせず、私の靴音にも気付かない様子だった。
私はなおもその男を追いかけた。
いつものものすごい速足で、10cmヒールからの靴音を響かせ、鬼の形相でその男の顔を捉えて離そうとしないまま追いかけた。
男は、他の客に紛れようとでもしていたのか、ビジネス書や経済書などのコーナーを立ち寄りながら私から逃げようとしていたが、私の両目はその汚い目を逃さなかった。男は、最終的に走って店内から逃げた。
店員は気付いているのかいないのか、それとも慣れているのか、誰も声を掛けてこなかった。
女性は、私が男を逃したあとも、同じ場所で立ち読みを続行していた。
絶望を感じた。
こんなに悪質な行いがあった中、誰も何も、それどころか被害を受けた当人でさえ関心を向けることなく、いつも通りの時間が過ぎるところを見た。
正義感を振りかざし気味の私は、『悪』が蔓延する瞬間を感じた。
もしかしたら、女性は恐怖で動けなかったのかもしれないが、そのあとも立ち読み続けていたので、その可能性は非常に低い。
店員からは、私はただヒールを履き慣れていないバカ女に見えたのかもしれない。
その男は、いつもそんなことをしていて、店員の手を煩わせる常習犯だったのかもしれない。
なんにせよ、全ての状況が許せなかった。
人にこの話をすると、
「あなたが被害に遭ったわけではないのに、危険なことをするのは感心しない」
と言われる。
力も無いのに正義感を振りかざして無鉄砲な行動に出るバカ扱いだ。
私は感心されたくて追いかけたわけでは無い。
ああいう奴に、ああいう事は、他人の目に映るとどういう形で自分に還るのか、どんな『他人の目』を向けられるのか。
知らしめる必要があったのだ。
あのあと、とりあえず店員には『不審者が痴漢行為をしていた』とだけ伝えた。
店内から出た時、出入り口には『痴漢行為は犯罪です』のポスターが貼られていた。
悪は蔓延する。
本来なら、見つけたらその場で駆逐しなければいけない。
感心されないと思うし、誰にも褒められないことだが、できるならできるだけのことはしたい。
悪は嫌いだからだ。
本日も読んでいただき、ありがとうございます。
愛しています。