憧れの購買
こんにちは。
こんばんは。
おはようございます。
flyingsapceshipと申します。
こちらでは好きなもの、きらいなもの、気になるもの、考えたことがあれば、私ならではの少ない語彙と拙い文章による書置きスタイルでお送りしています。
中学、高校は昼食はお弁当だった。
我が家の方針で、子供には学校の日は昼食に必要がなければ、お金は持たせないことになっていた。
母は専業主婦だったので、基本毎日お弁当を作ってくれていて、お金を渡されるのはお弁当が作れなかった時だけだった。
ただ、私は当時、お金に関して不満はなかった。
ちゃんとした理由を述べれば、相当の金額が支給されていたためだ。
そのため、私の小1から使っているポチャッコの財布の中身には、コンビニで昼食を買った時のお釣り分くらいしか入っていないことが多かった。
平均して50円前後だ。
それでも、中学は部活帰りの買い食いは禁止されていたし、高校ではそもそも買い食い欲が湧かなかった。
突然外食の予定が立っても、当時は50円あれば友達とポテトくらいは分け合って食べることができたのだ。
高校は中庭に自販機があり、高校生特有の飲み物とも言える、パックジュースが販売されていた。
今日のテーマを提案してくれた友人も、御用達だったとのことだ。
さらに、高校は購買で惣菜パン、菓子パンの各種が売られていた。
実は、当時そのパンの販売元は、とある美味しいチェーンのパン屋だったのだ。
買い食い欲は無いが、購買のパンは香りからして美味しそうだった。
ただ、自分にはいつも母の作った弁当があった。
忙しい朝、時間を縫って、冷凍食品を詰め込んでくれた専業主婦の母。
それを無下にできるほど私は人として堕ちてはいなかったので、購買への憧憬を持ちつつも、粛々と冷凍食品と米で構成された弁当を食べた。
ただ、よく購買のパンを食べていた、隣の席だった、野球部で、『三毛猫ホームズ』シリーズを箱に入れて置いていたT田くんが教えてくれた。
T田くん「あの、ギトギトのフレンチトーストが美味しいよ」
私「ギトギト!??」
T田くん「砂糖はジャリジャリ」
私「最高じゃん」
T田くん「やめられない」
私はそれから、いつか、いつか、忘れてなかったらギトギトのフレンチトーストを食べたいと願っていた。
すると、一学年末に、そのパン屋が購買を撤退するという知らせがあった。
やっと重い腰を上げたflyingspaceshipは、母に「購買のパンが食べてみたいからお金をください」と申請した。
500円が支給された。50円の10倍だ。
私は喜んで、次の日に、友人と一緒に購買に並んだ。
図書室側の中庭は穏やかで、静かだったので、図書館司書の先生に言って、そこで友人とパンを食べ比べした。
ジャリジャリでギトギトのフレンチトーストは、ほどよく香ばしく、耳はサクサク、生地はしっとりとフワフワで、本当に美味しかった。
私は「美味しい!美味しい!」と友人といくつか買ったパンを分け合いながら、最後の購買のパンを楽しんだ。
友人たちはそんな私を見て、
「こいつ、今日初めてパン食べたのでは?」
と野次った。
そのパン屋の名前は「リトルマーメイド」だ。
今も、そのギトギトジャリジャリの最高のフレンチトーストがあるかはわからない。
図書室の中庭で食べたという、あのシチュエーションもまた良かった。
500円といえど、人の金だし。
本日も読んでいただき、ありがとうございます。
愛しています。