食欲がなくても玉ねぎはある
こんにちは。
こんばんは。
おはようございます。
flyingsapceshipと申します。
こちらでは好きなもの、きらいなもの、気になるもの、考えたことがあれば、私ならではの少ない語彙と拙い文章による書置きスタイルでお送りしています。
食欲もやる気も無くても、玉ねぎはなかなか腐らない。
逆にいつ腐るか全然わからないので、出来るだけ早く処理したい。
だからといって、玉ねぎのために他の材料も買ってなんらかの料理をするほどのやる気も無いし、新たに買った材料は余ればやる気がないのでいずれ腐るだろう。
玉ねぎひとつでできるなにかで、玉ねぎを処理して、腐敗の恐怖から逃れたい。
flyingspaceshipは困った時は、本屋に行く。
図書館はあまり好きではない。
玉ねぎがあまって困った時も、flyingspaceshipは本屋に行く。
そんな時に出会ったのが、阿川佐和子さんの『残るは食欲』だ。
目次に『たまねぎひとつ』とあり、すぐ買ってみた。
読んですぐ、あまっていた玉ねぎを半分に切った。
瑞々しく、透明な乳白色の中に新緑のような繊維がいくつも走っていた。
腐ってない。正直、少し残念だった。ここで腐っていたらそのまま諦め、棄てることができ、炊事をせずに済む。
まだまだ新鮮な玉ねぎだ。
歌うような阿川佐和子さんの文章の中で、玉ねぎはリズムよく細かく刻まれ、炒められ、優等生のようにフライパンの中で芳ばしく色づく。
色は飴色だ。
私は「飴色、」と頭の中で反芻した。
あめいろ…??
文庫本を一度置いて、スマートフォンの検索窓を叩いた。
『飴色 カラーコード』
具体的なイメージが欲しかった。しかし、飴色と言っても#deb068でもあるし、#cd6118でもある。
なんなら私が想像した飴色は
この透明度だ。
玉ねぎだろーが!なんで飴なんだよ!
定番の美しい比喩もポンコツ野郎にとってはこの通りだ。
とりあえず焼けば茶色くなる、と気を持ち直し、ひたすら炒めた。
私の刻んだ玉ねぎは劣等生の集まりなので、まばらに色づいた。
さて、こんな感じで初めてのオニオングラタンスープが、阿川佐和子さんのおかげで出来上がったのだ。
玉ねぎ以外にも、阿川佐和子さんの愉快で爽やかな人柄がわかる食の連作エッセイ集だ。
美味しくて楽しい時間を、本を読むだけで得られる。
エッセイは苦手だが、食べ物は得意なので、これはあっさり読めた。
本日も読んでいただき、ありがとうございます。
愛しています。