iPodの思い出
こんにちは。
こんばんは。
おはようございます。
flyingsapceshipと申します。
こちらでは、普段なら考えたことなどを私ならではの少ない語彙と拙い文章で書き殴っていくスタイルでお送りしています。
今日は、私とiPodの思い出だ。
先に言っておくと、悲しい話だ。
iPodと私は、短い付き合いだった。
半年か一年くらいのあいだ、iPodと私は一緒にいた。
今、使っているのはSONY製のWALKMAN NW-S644。
2009年に発売の8GBをもう8年以上使っている。まだ容量に少しの余裕がある。
SONY ウォークマン Sシリーズ 8GB ホワイト NW-S644/W
- 出版社/メーカー: ソニー
- 発売日: 2009/10/10
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ひとつのものを使いはじめると、無意識のように壊れるまで使う私が、iPodとは非常に短い付き合いになってしまったのには、どうしようもない理由があったのだ。
そもそも、そのiPodは、他人のものだった。
とある知人Aの厚意で、私が譲り受けた。
iPodを譲り受ける前に使っていたのは、それもSONY製のMDウォークマン。
正方形の可愛い奴だった。やはり、ほとんど使い倒すことになり、中学2年生から使い、大学2年生のときに完全に動かなくなった。
このブログを読んでくださってる貴重な方は、もうご承知の通り、大学2年生の私といえば、友達がいない。
広いキャンパスを、ただ速く歩くことに一心になっていた頃で、今でも気が付くと女性の友人を置いて先に進んでしまっていることがある。
一人暮らしを始めたばかりの頃でもあり、口を開くのはバイト先くらいだった。
そんな折に、MDウォークマンが使えなくなってしまった。
たくさんの同級生の中、いつも独りの食堂、騒々しいキャンパス、お金がないので自転車で通学する40分。
この間を埋めてくれていた音楽が、突如として、なくなった。
しかも、しばらくはギリギリの生活となるため、嗜好品である電化製品を買う余裕などなかった。
MDウォークマンが壊れて数週間経ったある日、バイト先の仲間が声をかけてきた。
その仲間は、有名大学の理系で長身で脚長で肌が白い、いわゆるモテる男だ。
私はそんな彼に対して、妬みの気持ちを隠すことがなかった。
そのため、基本的に仲良くはなかった。ギスギスした会話をしていた。
本の好みだけは似ていたので、本の貸し借りをしていた。他のバイト仲間や上司は『だったら仲良くしたらいいのに』と言っていたが、それとこれとは別だった。
そんな彼が、バイト終わり、全員がぐったりとして椅子に倒れている時に私に声をかけてきたのだ。
「そういえば、ウォークマン壊れたって言ってたけど、あれからどうしたの?」
私「もう気が狂いそうです」
「じゃあ、俺のiPodあげるよ。いる?」
そう、彼がiPodをくれた知人Aだ。しかし、iPodは決して安いものではない。お互いぐったりしていたので、私は聞き間違いだと思い、何度も確認した。
すると、AはiPodを買い替えるつもりで、今使っているものを何かしらの手段で処分することを考えていたらしい。
しかし、それでも私は確認したし、『無償』は申し訳ないから中古の値段で払おうか、とまで言った。すると、Aは言った。
「大学で友達もいないのに音楽までなかったら、本当に気が狂うだろうなって思う。あげるよ」
という経緯で、知人Aからの100%憐みによりiPodを頂いた。
ただ、他人のiPodは基本的に上書きができないらしい。知人Aは、入っている音楽をそのまま聴くだけになるが、それでもいいか?ということでくれたのだ。
音楽がまったくないよりよっぽど良いし、音楽はだいたい拒否反応は無いので、私に問題はなかった。
Aも、「本の趣味は合うから音楽もまぁ大丈夫だろう」と言っていた。
ところで、この時期、バイト仲間で一番と言われるほどの美少女Bが、なぜか私を頻繁に遊びに誘ってきた。
バイト仲間であるし、年下だし、美少女だしで、私に断る理由はなかったが、シフトが被ることが少なく、バイト先で話をしたのも数回だったので、不思議ではあった。
美少女Bには、同じバイト先に彼氏・Cがいた。
美少女Bも、私と知人AのiPod譲渡の会話をしていた時にいた。「え~、いいなぁ~」と素直に言っていた。
譲り受けたiPodは、『有名大学に通う理系のモテる奴』が聴いてそうな音楽がたくさん入っていた。日本人だろうが、外国人だろうが、バンド名に英語が多かった。
そのiPodのおかげで知って、好きになった音楽もあり、今使っているWALKMAN NW-S644に自分で入れたものもある。
Avril LavigneやELLEGARDEN、RADWIMPS、Red Hot Chili Peppersあたりだ。
趣味じゃない音楽もあるかもしれないつもりだったが、むしろ聴いたことない音楽が否応なしに登録されているのは楽しかった。
iPodとの暮らしに慣れてきた頃の、とても寒い日だった。
その時の、かじかんだ指から伝わるiPodの冷たさは、今でもよく覚えている。
携帯電話にメールが届いた。知人Aからだった。
その時まで、1年半ほど同じバイト先で過ごしていたが、知人Aとメールのやりとりをしたのは2~3回ほどだった。
Aとは、バイト先でも顔を合わさなくなっていた。
ただ、どういった経緯があったか知らないが、美少女Bと知人Aが付き合うことになったとは耳にしていた。
私とは人種や文化が違う話なので「へぇー」という感想以外、生まれなかった。美少女Bと付き合っていたCは、そういえば暗い顔をしていたかもしれない。
どうしたんだろう、と思うと同時に、その情報がふと頭を過ぎった。嫌な予感がした。
ほとんど予感は当たっているだろうと思いながら、知人Aからのメールを開いた。
『本当に申し訳ないんだけど、iPod返してもらっていいかな』
自分の察知能力に鳥肌がたった。異人種間での争いはなにも生まない、と判断し、脊髄反射でメールを打った。
『かしこまりました!次シフトが被った時に渡しますね!!』
知人Aは、私に譲ったあとすぐ、新しいiPodを購入し、見せてくれた。知人Aがなにを思って返還を依頼したか、想像することしかできない。
美少女Bは私と数回出かけたが、「どんな本読むの?」「Aさんに貸してた本ってどんなの?」と質問してくることもあった。
想像することしかできないが、私はきっと間違いないと考えている。そのほうが納得できるからだ。
私は悔しいとも悲しいとも思わず、『自然の摂理のようなもの』と感じながら、知人AにiPodを返還した。
「ありがとうございました!頑張って、自分のウォークマン買いますね!」
知人Aは「うん」とだけ言った。
その年の繁忙期、私はすべての日程にシフトを入れてもらい、その上お客様からチップまでいただき、なんとか今のWALKMAN NW-S644を手に入れた。
知人Aは卒業後どうなったのか、詳しくは知らない。人づてに聞いた限りでは、Bとはなんだかんだで別れたが、かなり女難の相が出ているようだった。
美少女Bに関しては、それらしい人物から私に、2018年1月1日のAM3時にLINE通話がかかってきた。友達登録をしていなかったので電話に気付かなかったが、そのあと『Happy New Year』とハートと音符で飾られた一言が送られてきた。本人確認ができないので、そのままにしている。
私の経験した中でも、かなり悲しい話だと思う。
なにかが違っていたら、知人Aとは今も読書オタクの話をしていたかもしれない。
美少女Bとも度々食事に行くくらいはしていたかもしれない。
そして私は、iPodを2台持ちしていたかもしれない。
本日も読んでいただきありがとうございます。
愛しています。